【時事】NHK受信料訴訟 ~ だって、見てないし! ~
テレビはあるけどNHKの受信料を支払っていない方、結構いるのではないでしょうか。近年、NHKの受信料の未払いについて、多くの報道・訴訟がありました。2015年には、東横インに対して、客室に設置したテレビ全ての受信料を支払う義務があるとした訴訟もありました。
今回ご紹介するのは、「テレビを設置しているものの、契約を拒否する人」に対して、NHKが支払を求めた民事訴訟についてです。
【事案概要】
テレビを設置していることは認めている男性が、NHKとの契約を拒否したところ、NHKから受信料の支払いを求められた事案となります。第1審・第2審ともにNHK側が勝訴。つまり、受信料を支払えという判決になりました。
これに対して男性側は、NHKとの契約義務を憲法違反だと主張し、最高裁に上告しました。
【憲法第13条】
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
【放送法第64条第1項】
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。
【裁判の行方】
放送法64条は、テレビ等を設置した場合には、NHKと受信契約をすることを義務付けているのですが、この法律が憲法13条の保障する「契約自由の原則」を侵害しているのではないか、という裁判になっています。
そもそも、国民のみなさんは、契約を締結するかしないか、誰とどのような内容の契約を締結するかは個々人の自由とされています。コンビニで物を買う、ケーブルテレビを契約する、レストランで食事をする、など様々な場面で知らず知らずに契約をしていますが、当然、値段や品質を見て購入や食事場所を決めたりしていると思います。つまり、買いたくなければ買わない、という自由があります。しかし、放送法では原則として契約を義務付けているので、今回の裁判の争点となっています。最高裁は年内に結論を出す見込みですが、今後の放送法とNHKのあり方を左右する結論となるかもしれません。
※最高裁の判決についての記事はこちらです。
(担当:萩生田)
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