【企業コンプライアンス】社内ハラスメント対策 ~セクハラにあったけど・・・~
セクハラ、パワハラなどハラスメントによる不祥事が相次いでいますが、皆さんが所属する組織での対応は大丈夫でしょうか。ハラスメント被害はなかなか当事者が言い出すことができず、表に出てきたときには大きな問題となっている可能性もあります。ハラスメントを防止できればそれで良いのですが、ハラスメントによる被害・損害の拡大を防ぐ必要があります。
【研修による対策】
組織における業務指導としてOJT(On-The-Job Training)を取り入れている企業が多いと思いますが、実際に業務に携わりながら教育を行うことができるというメリットがある反面、教育担当となる先輩社員の指導にムラが出てしまうという課題もあります。業務指導については先輩社員の上司となる部長・課長などの役職者が方向修正を行いながら進めれば良いのですが、問題は新入社員と直接に接する機会が多い教育担当となる先輩社員のハラスメントです。教育担当は「早く一人前になってほしい」という気持ちで厳しく指導したつもりでも、新入社員は「いじめられている」と感じてしまう可能性もあります。また、打ち解けるつもりでプライベートの話をすることがセクハラと取られてしまうリスクもあります。このハラスメントリスクをゼロにすることは難しいですが、教育担当者やマネージャー層に「ハラスメント」の考え方を教える研修を行うことで、徐々にハラスメント意識を向上させることが期待できます。
【ハラスメント相談窓口】
上述の通り、ハラスメントに対する意識を向上させることでリスク低減をさせたとしても、完全に防ぐことは難しいと思います。実際にハラスメント被害が起きた場合、企業としてはどういう対処が必要でしょうか。
まずは、速やかに当事者からの話を聞くのが基本ですが、この場合にとにかく中立な立場で話を聞くことが大切です。ハラスメントは組織の大きな問題のため、「ハラスメントではない」という説得を無意識に行いがちです。そのように言われた社員は、「仕事ができない自分が悪い」、「私の態度が良くなった」、「会社に迷惑をかける」など、さらに自身を追い込んでしまい、被害を拡大させることにも繋がります。
こうしたことを防ぐためには、専門組織を設け、相談窓口を整備することが望まれます。また、組織の規模からそこまでの窓口整備が難しい場合は、弁護士を活用することが考えられます。会社組織とは別の中立的な立場としての通報相談窓口として弁護士を活用することで、ハラスメント被害への対応を十分に取ることが可能となります。
【まとめ】
ハラスメントは人と人とが接する限り、様々な態様で発生します。その全てに対応できる対策はないかもしれませんが、会社組織として対策を考えることこそ大切だと思います。ハラスメントに対する対策を行うことは被害者を減らすことができるという側面だけでなく、会社組織に属する従業員の倫理意識を向上させ、ひいては企業価値の向上に寄与することともなります。世間を騒がせる不祥事が起きた今こそ、今一度考えるきっかけとしていただければと思います。
(担当:萩生田)
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