電通違法残業事件では、新入社員の自殺を発端に、いわゆるブラック企業の問題が浮き彫りにされました。今回は、ブラック企業にありがちな残業代の未払いや労働基準監督署による未払残業代の支払勧告に伴い、過去の残業代が支払われた場合に想定される税務の注意点について説明します。
未払残業代はその支払い方によって、税務上の取り扱いが異なります。その支払い方とは、「未払い残業代の精算として一時金を支払う場合」と「過去に確定した給与を遡及して支払う場合」とに分けられます。
※実際には、過去の未払い分については不明瞭な点もあるため、遡及して支払うよりも、一時金として支払うケースが多いかと思います。
「未払い残業代の精算として一時金を支払う場合」
1.法人税法上の取扱い
賞与を支払った場合と同様に、支払った月の属する期の損金となります。
2.所得税法上の取扱い
賞与として取り扱われ,支払いを受けた年分の給与所得となります。そのため、支払いを受けた年の所得税及びその翌年の住民税は増額されることとなります。
「過去に確定した給与を遡及して支払う場合」
1.法人税法上の取扱い
賞与を支払った場合と同様に、支払った月の属する期の損金となります。
2.所得税法上の取扱い
過去分の給与としてその発生年別に、支給済みの給与に加えて、年末調整をやり直す必要があり、所得税が増加します。また、これにより住民税も増額され、延滞税の納付も必要となります。
<参考>
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/03/41.htm
(担当:高久田)
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