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2020.05.14TOPICS

【相続法改正ナビ】~配偶者居住権~

【相続法改正ナビ】~配偶者居住権~



概要

配偶者居住権は、被相続人の配偶者が、相続開始時に被相続人が所有する建物に居住していた場合に、その建物全部について無償で使用及び収益することができる権利です。


『収益』することができる部分が、配偶者短期居住権とは異なります。


また、一部に居住していたとしても、建物全体にその効力が及びます。土地についての権利はありません。



要件

被相続人が所有する建物に配偶者が居住していたこと

被相続人が居住建物を配偶者以外の者と共有していないこと

(1)~当事者の意思による場合~以下のいずれかに該当すること

・遺産分割により、配偶者居住権を取得


・配偶者居住権が遺贈の目的とされること


・被相続人と配偶者間に配偶者居住権を目的とした死因贈与契約があること


(2)~遺産分割審判による場合~以下のいずれかに該当すること


・共同相続人間で配偶者居住権を認めていること


・一方で他の相続人が合意しない場合であっても配偶者の生活を維持するために特に必要と認められること



内容

対抗力

配偶者居住権の対抗要件は、登記となります。


建物所有者は、配偶者に対し配偶者居住権の設定登記を備えさせる義務を負います。賃借権の登記の効力と同様に配偶者居住権に基づく、妨害排除請求権が認められています。


この登記申請は、配偶者と建物所有者の共同申請となります。


使用収益権

配偶者は、建物全部について従前の用法に従い使用及び収益する権利が認められます。配偶者は善管注意義務を負います。以前は店舗等として使っていた部分についても、店舗の営業をやめた場合などは、居住のために使用することができることが明記されました。


存続期間

原則、配偶者の終身の間とされますが、遺産分割協議等で別段の定めがあるとき等には、それよりも短い期間を設定することができます。


譲渡禁止

配偶者居住権は配偶者の居住を確保することを趣旨としているため、譲渡することができないとことが明らかにされています。


買取請求権も認められていないため、換価できない不都合な面もあります。その場合の取り決めをしておくことが重要です。


所有者の承諾

建物の増・改築、第三者に使用収益させることは建物所有者の承諾が必要となります。第三者に使用収益させた場合には、賃貸人を配偶者、賃借人を第三者として、建物所有者との間には、転貸の規定が準用されることとなりました。


修繕

配偶者は必要がある場合にはすぐに修繕する必要があるため、配偶者に修繕権があることを明記されています。また、建物の価値の低下を懸念して、配偶者が修繕しない場合には、建物所有者が修繕できるとしています。通常の費用については使用貸借と同様に配偶者の負担となります。特別の費用費(災害等における損壊部分の大規模修繕費用等)については、所有者の負担としております。



期間事由

存続期間満了時

居住建物の滅失時

混同による消滅

配偶者が配偶者居住権を取得した後に、建物の共有持分権を取得したに過ぎない時は、混同の例外として取り扱われ、配偶者居住権は消滅しません。


配偶者居住権の消滅請求

配偶者が違反した場合には、建物所有者が配偶者居住権の消滅請求をすることができることとしました。


合意または権利放棄による消滅

配偶者の死亡時


配偶者短期居住権をよりも強く擁護されておりますので、配偶者居住権が成立した場合には、短期居住権が消滅することが理解できます。それぞれの違いに注意が必要です。


→相続法改正概要はこちら


→配偶者短期居住権についてはこちら



(担当:弁護士萩生田)

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