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2020.05.29TOPICS

【法務:会社が破産しても代表者個人が破産しない方法がある?~経営者保証ガイドラインとは?~】

【会社が破産しても代表者個人が破産しない方法がある?~経営者保証ガイドラインとは?~】



金融機関が会社に融資する際には、代表者個人の連帯保証を取り付けることが一般的となっており、経営者による思い切った事業展開や、早期事業再生等を妨げています。


また、会社を破産させる場合には、代表者も破産せざるを得ない状況となることもしばしば見受けられます。


そこで、経営者保証の弊害を解消するために、その解決策の方向性をとりまとめたのが経営者保証ガイドライン(以下「ガイドライン」といいます。)です。


このガイドラインは、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局として、経営者保証を提供せず融資を受ける際や保証債務の整理の際の「中小企業・経営者・金融機関共通の自主的なルール」として公表されたものです。


その積極的な活用を促すべく、弊所においても概要をご案内致します。



・ガイドライン活用のメリット


保証債務の整理

破産手続の回避

信用情報機関への登録回避

破産するよりも、保証人(代表者)に有利な資産を残せる


・ガイドラインの適用要件


ガイドラインの適用となる保証契約の要件を充たしている

保証契約のガイドライン対象となる主たる債務者

・個人事業主


・中小企業


・小規模事業者


・中堅企業


※中小企業基本法に定める中小企業者に限定していません。


② ガイドラインの対象となる保証人


・主たる債務者の代表者


・実質的な経営権を有している者


・営業許可名義人


・経営者と共に事業に従事する経営者の配偶者


・経営者の健康上の理由により保証人となるじぎょう承継予定者等


③ 債務者および保証人の双方が弁済について誠実であり、債権者の請求に応じ、各々の財産状況について適時適切に開示していること


・法人と経営者の資産等が明確に区分されていること、


・法人に財務基盤の強化が認められること、


・法人から財産状況の正確かつ適切な開示等が行われること


④ 債務者および保証人が反社会的勢力ではなく、そのおそれもないこと


⑤ ガイドラインの対象となる債権者


・銀行


・信用金庫、信用組合


・信用保証協会


・サービサー


主たる債務者の法的またはそれに準じる私的整理手続きの申立て、継続、または終結

対象債権者の経済的合理性が期待できる

・主債務および保証債務の破産手続による配当よりも、債権者が多くの回収を得られる見込みがある等


保証人において破産法が定める免責不許可事由がない


・ガイドライン利用により残せる資産の範囲


(1)債務整理申出後の収入および新取得財産


(2)破産手続において自由財産とされる99万円までの現金等


(3)生活に欠くことのできない家財道具等


(4)全債権者合意のもと、債権者の経済的合理性を上限とする以下の財産


・一定期間の生計費


・華美でない自宅


※代表者が自己破産をするよりも非常に多くの財産を残せます。


ガイドラインの活用は、会社の破産時だけではなく、事業承継においても新代表へ個人保証を引き継ぐことなく会社を承継できることで譲渡価格が金融機関の個人保証に左右されずに済む等のメリットがあります。


適用要件が分かりにくかったり、専門性の高い知識が必要であったりと、中小企業等経営者の皆様が自発的に利用るすには敷居が高いと思われるかもしれません。



「自社の場合、ガイドラインに則って事業承継をしたらどうなるか?」


「法的破産手続をするしか方法がないのか?それが1番関係者にとって良い方法なのか?」


など、この記事でガイドラインを知り、活用できるかご相談されたい場合、弊所は法務だけでなく会計からのサポートも行っておりますので、ぜひお気軽にお問合せください。



【参考】中小企業庁HP https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/



(担当:弁護士萩生田)

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