【法務:著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律について】


【法務:著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律について】

1 法改正の背景

海賊版サイト(インターネット上に著作者の許可を得ずに掲載された著作物を閲覧等できるサイト)による被害が深刻化しており、解決すべき課題となっていました。政府は、この現状を踏まえ、悪質な海賊版サイトを閲覧防止するための措置を実施できる環境の整備を進めていましたが、通信の秘密の侵害(憲法第21条2項)にあたる可能性や著作権を侵害するコンテンツのダウンロード違法化の範囲の広範さにより国民のインターネット利用の萎縮の可能性を鑑み、法整備が見送られておりました。今回、そのような経過を踏まえ、侵害コンテンツをダウンロードすることの違法化に一定の要件を追加することで法改正の方向性を決定し、2021年1月1日をもって著作権法に関するすべての改正が施行となりました。

 

2 改正のポイント

  • 海賊版サイト対策の強化
  • リーチサイト対策

リーチサイトとは、自身のウェブサイトにはコンテンツを掲載せず、他のウェブサイトに違法にアップロードされた著作物等へのリンク情報等を提供するウェブサイトのことです。このリーチサイトが著作権侵害を助長する要因となっていますが、ウェブサイトに侵害著作物のリンク情報を掲載する行為自体は、一般的に著作権侵害行為にならないため差止請求ができませんでした。今回の法改正で、リーチサイト等におけるリンク提供行為およびリーチサイト運営行為等を行った場合の違法化・刑罰化が実現しました。

いずれも差止請求等の民事措置対象となるようされました。

リンク提供者は、故意によって行った場合、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されることとなりました。リーチサイト運営者等は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科されることとなりました。いずれも親告罪となります。

 

(2)侵害コンテンツのダウンロード対策

先般より、海賊版サイトの削除をしてもサーバーやドメイン等を変更してサイトの運営が継続されていることや、その使用されているサーバー・運営者が海外に所在していることで、改正前の法律ではその法の執行に限界があることが指摘されていました。このような背景から、違法にアップロードされた著作物全般のダウンロード行為を一定の条件の下で規制すること等により著作権の適切な保護を図ることとなりました。ダウンロード違法化の範囲が拡大されておりますが、「海賊版対策としての実効性確保」と「国民の正当な情報収集等の萎縮防止」のバランスを図る観点から,規制対象を、違法にアップロードされたことを知りながらダウンロードする場合のみとしております。

これに違反した場合、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(併科可能)を科すこととしました。こちらも親告罪となります。

 

  • その他の改正事項

(1)写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大

スマートフォン等の普及やTikTok等動画投稿・配信プラットフォームの発達等の社会実態の急速な変化に対応するため、写り込みに関する権利制限規定の対象範囲を拡大するものです。

(2)行政手続に係る権利制限規定の整備

特許審査手続等においては権利者の許諾なしで必要な文献等の複製等ができることとしておりました。この対象に、地理的表示の登録・種苗法に基づく植物の品種登録を加えました。

また、同様の措置が必要な行政手続に柔軟な対応ができるよう、随時手続を追加することを可能としています。

(3)著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入

法改正前は、著作権者から許諾を受けて著作物を利用している利用者は、著作権が譲渡された場合に著作権の譲受人などに対して著作物を利用する利用権を対抗する手段がありませんでした。

このような背景を踏まえ、利用者が利用を継続することができるように譲受人などに対抗できる制度を導入するものです。なお、対抗するために登録等の要件を備えることは不要です。

(4)著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化

著作権侵害訴訟における書類提出命令をより実効的なものとする観点から、手続の強化を図るものです。

この改正により、専門性の高い書類等について、当該書類を専門委員に開示することができ、専門委員(大学教授など)のサポートを受けられるようになりました。

(5)アクセスコントロールに関する保護の強化

近年、コンテンツの提供方法がインターネット配信に増加していることに伴い、シリアルコードを利用したライセンス認証など最新の技術に対応できるよう規定の整備を行うものです。

不正なシリアルコードの提供行為等を著作権等のみなし侵害行為とし、3年以内の懲役又は300万円以下の罰金を科すこととしました。

(6)プログラムの著作物に係る登録制度の整備

プログラムの書作物が反証がない限り、登録を受けた者が当該著作者と推定される制度です。著作者の実名、第一発行年月日等を登録します。これにより訴訟等での立証の円滑化に資する事になります。

また、国及び独立行政法人が登録を行う場合の手数料免除規定を廃止することとしています。これは、国又は独立行政法人による登録が全体の3分の1まで増加し、指定登録機関等の負担を鑑みて手数料の免除が廃止となりました。

 

3 最後に

改正のポイントと概要を簡単にまとめましたが、今回の改正は、違法化・刑罰化の内容となっているため、詳細な要件や注意すべき点が多々あります。

これには、法の運用も慎重にならざるを得ないと思われます。今後の運用に注視する必要がありそうです。

 

詳細については文化庁のHPを一度ご覧ください。Q&Aも掲載されております。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/

 

(担当:萩生田)