【時事】電通違法残業事件Vol.1


電通違法残業事件が正式裁判に(2017.7.12)

〜略式命令と正式裁判の違いとは?〜

 

【事件概要】

世間を大きく賑わせた電通の違法残業。4月に入社した新入社員が12月に女子寮にて 自殺、労基署が過労自殺と認定したことで世に出るきっかけとなりました。

東京地検は法人としての電通を労働基準法違反罪で略式起訴しましたが、東京簡易裁判所は、書面審理だけの略式命令で終わらせるのではなく、正式裁判を開いて審議をすべき旨の決定を出しました。

 

【略式命令、正式裁判とは?】

略式命令とは、簡単に言うと検察官による起訴に対して、簡易裁判所が非公開の書面審理で、罰金または科料を科す刑事手続を言います。これに対して、正式裁判では、公開の   法廷で電通幹部の供述や証人による証言などによって審理されます。すなわち略式命令であれば、非公開で審理されるのに対し、正式裁判であれば公開裁判として傍聴人の前で行われるのが原則となります。

刑事訴訟法463条第1項は、「その事件が略式命令をすることができないものであり、又はこれをすることが相当でないものであると思料するときは、通常の規定に従い、審判を  しなければならない」と規定していますが、裁判所が略式起訴の判断を不相当とすることは極めて珍しいものと言えます。

 

【裁判所の判断について】

上述のように、裁判所が略式起訴の判断を不相当とすることは極めて珍しいのですが、  昨今の過重労働に対する事案としては、スーパー運営の「コノミヤ」、ファミリーレストラン「和食さと」等を運営する会社「サトレストランシステムズ」の2件が略式起訴不相当として公開の裁判で審理されています。これは、営業規模の大きい企業における違法労働については、審理内容が見えにくい略式手続ではなく、公開の裁判で行われる正式裁判が望ましいと裁判所が考えている可能性があります。

世間の耳目を集める電通の違法労働事件、公開裁判にて電通幹部の供述や証人による証言からどのような真実が認定されるのか、今後の企業の労働環境改善へどのような影響が あるのか注目されます。

電通違法残業事件Vol.2

(担当:萩生田)

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