相続税の申告・納付までの流れ!必要書類・期限・ペナルティなど徹底解説


今回は、「相続税の申告・納付」に関わることを解説します。

相続発生から申告・納付するまでの流れ、必要な書類、期限やペナルティなど、相続の申請・申告に関わる基本的なことを網羅的に解説します。

 

相続税申告・納付まで流れ

被相続人が亡くなって相続が発生した場合、遺産の金額によっては相続税を支払う必要があります。

相続が発生してから相続税の申告・納付までの流れは以下の通りです。

 

  1. 相続財産の調査
  2. 遺産分割協議で遺産分割の内容を決める
  3. 相続税の計算
  4. 相続税の申告書を作成
  5. 納税方法を確認
  6. 期限内に申告・納付

 

まず、相続財産全体の調査をする必要があります。現預金・不動産といったプラスの財産から、負債などのマイナスの財産まで、故人の遺産がどこに・何が・どのくらいあるかを調べます。

 

次に遺産分割協議によって、遺産分割の内容を決めます。

誰が・どの遺産を・どのくらい相続するかを、相続人全員で話し合って決めます。

 

相続の分割内容が決まれば、相続税の計算をします。

相続税の計算は、相続人全員の相続分・相続割合を元に計算するので、かなり煩雑です。

そのため、故人が多くの動産・不動産を所有していたり、遺産額が多い場合は、弁理士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

相続税の計算が終われば、実際に相続税の申告書を作成します。

申告書を作成するにあたり、揃えなければならない書類がいくつもあるので、押さえておきましょう。

 

納付方法を確定したら、相続税の申告・納付をします。

期限内に、被相続人が住んでいた場所を管轄する税務署に提出することで、相続税の申請や納税が完了します。

 

相続税の申告・納付に必要な必要書類

相続税の申告や納付に必要な書類をご説明します。

 

相続関係を明らかにする書類

相続関係を明らかにする書類は、以下の通りです。

 

  1. 相続人・受遺者のマイナンバーが確認できるもの
  2. 相続人・受遺者の運転免許証・身体障害者手帳・パスポート在留カードの写し(いずれか)
  3. 全ての相続人が明らかになる被相続人の戸籍謄本の原本または写し
  4. 遺言書の写し・遺産分割協議書の写し
  5. 被相続人の住民票除票または戸籍の附票
  6. 相続人や受遺者の住民票または戸籍の附票
  7. 相続人や受遺者の印鑑証明書原本

 

マイナンバーの表裏面の写しを提出した場合は、2の項目にある書類等は必要ありません。

遺産内容を証明する書類

遺産内容を証明する書類は、以下のものがあります。

遺産の状況によって、提出することとなります。

 

遺産内容を証明するもの 書類など
不動産の状況がわかるもの 登記簿謄本、固定資産評価証明書、測量図または公図の写し、賃地や借地の場合賃貸借契約書の写し等
預貯金の状況がわかるもの 残高証明書、通帳の写しまたは出入金明細書、経過利息計算書等
有価証券の取引状況がわかるもの 残高証明書、株券の写し、配当金通知書等
所有している権利の詳細がわかるもの ゴルフ会員権、証書や株券の写し、貸借契約書や残高のわかる書類の写し等
生命保険金の支払い状況や契約内容がわかるもの 保険金支払通知書、保険証書の写し、解約返戻金相当額証明書等
負債の状況がわかるもの 賃借契約書の写し、銀行等発行の残高証明書、入院費等の請求書または領収書の写し等
葬儀費用の内訳がわかるもの 葬儀費用として支払った詳細がわかる請求書や領収書等
生前3年以内の贈与内容がわかるもの 贈与税の申告書控えの写し、贈与契約書の写し等
準確定申告書控えの写し 準確定申告書控えの写し等

 

国税庁のホームページには、相続税の申告書等の様式一覧があります。

必要な書類は、そこからダウンロードできますので、是非、ご活用ください。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/h30.htm

 

相続税の申告・納付の期限

相続税の申告・納付の期限はともに「相続が発生したことを知った日(被相続人の死亡した日)の翌日から10ヶ月以内」です。

納付は原則として、「現金一括払い」をすることが定められています。

期限に余裕があるからといって、相続税の申告や納付を先送りにするのはやめましょう。

うっかり忘れてしまい、結局期限に間に合わなかったという話をよく耳にします。

その場合、ペナルティを支払うこととなります。

 

期限までに遺産の分配等が決まらず、それぞれの相続税が確定しない場合はどすればいいのでしょう。

その場合は、法定相続分による遺産分割の状態として、仮で相続税の申告を行うのが一般的です。

その後、遺産分割の内容が決まった際には、改めて相続税の修正申告をします。

 

相続税の申告・納付しなかった場合のペナルティ一覧

相続税の申告・納税に遅れた場合はペナルティが発生します。

ペナルティは、状況に応じて課せられる税が異なります。

 

ペナルティの種類と課せられる税は以下の通りです。

 

状況 課せられる税 税率
期限後に納付した場合 延滞税 期限の翌月から2ヶ月を経過する日まで2.8%、期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降は年9.1%
修正申告書を提出した場合 過少申告加算税 自主的に申告した場合は課税なし。税務調査後の場合は追徴税額10%
期限までに申告・納付をしなかった場合 無申告加算税 自主的に申告した場合は5%、税務調査後の場合は15%(50万円超は20%)
故意に納税を逃れようとした場合 重加算税 過少申告加算税に関わる場合は15%、無申告税に関わる場合は40%

 

相続税の納付方法

相続税の納付方法は原則として「現金一括払い」です。

しかし、特殊な事情がれば、延納や物納が認められます。

とはいっても、現在では延納・物納が認められることはほとんどないようです。

基本的には、それぞれで納税のための資金を工面する必要があります。

 

延納の要件

延納の要件は以下の通りです。

 

  1. 納税額が10万円を超えること
  2. 金銭で納付することが困難な事情があること
  3. 延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること
  4. 延納申請期限までに担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること

 

担保の種類や延納期間においては、国税庁のホームページに記載してあります。

詳しい内容はそちらをご覧になってください。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4211.htm

 

まとめ

  • 相続税の申請・納付期限は「相続が発生したことを知った日(被相続人の死亡した日)の翌日から10ヶ月以内」
  • 相続税の申請・納付期限を遅れた場合はペナルティが発生する
  • 遺産分割協議が決まらず相続税が確定しない場合は、法定相続分の割合で仮の申請を行う
  • 納税は原則、「現金一括払い」。延納や物納はあてにしないこと

 

いかがでしたか?

相続税の申告・納付は、遺産が多ければ多いほど、調査や手続きに時間がかかり大変です。

そのため、遺産の分割が決まり次第、すぐにでも取り掛かりましょう。

もし、自分でするのが難しい場合は、税理士などのプロに相談するといいでしょう。

相続税の申告手続きだけでなく、節税対策のアドバイスもしてくれますよ。

 

今回の記事が、皆様のお役にたてれば幸いです。